厚生労働省が2日に発表した2016年4月時点の待機児童数は、2年連続で増加となりました。政府は解消に向け保育の受け皿拡大を進めますが、逆に「預けられるなら私も」という保護者の潜在需要を喚起。入所希望者が増える「いたちごっこ」の状態になっています。待機児童をゼロにする目標期限の17年度末が迫るなか、地方自治体の現場からは「達成は無理」との声も漏れ、保育所の定員拡大など既存施策の効果に疑問の声も聞かれます。
 1,198人と4年連続でワースト1位となった東京都世田谷区では、就学前の人口が増え、受け皿整備が追い付きません。「待機児童ゼロ」の政府目標達成には「人口増がストップしなければ無理」(保育課)と悲観的。

「保育所を増やせば増やすほど、ニーズが出てくる」と悩むのは那覇市。定員拡大に取り組んでいますが、待機児童数は前年から増え、全国で3番目に多い結果でした。こども政策課の担当者は「このまま定員を増やすことで待機児童数は減るのだろうか」と自信が持てません。

こうしたなか、国の新たな施策に注目が集まります。千葉県市川市は、親が給付金をもらえる育児休業を長く取得できるようにする制度改正の動きや、1歳児を預けやすくする保育所の「入園予約制」導入に前向き。こども施設計画課の担当者は「新制度には想定しない課題が生じるものですが、国も自治体も実施する中で問題点を解決し、活用しやすい制度にしていくことが大切」と考えています。

また、前年からの増加数が多かった岡山市は、待機児童数を上回る800人分以上の受け皿整備を進めますが、「保育士確保が新たな課題。募集してもなかなか思うように集まらない」(就園管理課)といいます。保育士不足は全国的に深刻化しており、政府は「ニッポン一億総活躍プラン」で保育士の賃金アップを掲げました。待機児童問題では、ハード整備だけでなく、総合的な対策が急がれます。